
夜、ピアノの練習をしていたら、窓の外で人の足が止まった気がした。テレビの音を少し上げたら、家の前の道まで聞こえていないか急に心配になった。子どもの笑い声やペットの鳴き声も、窓をあけていなくても外に届いているのだろうか。そんな不安はありませんか。
先に答えると、内窓は「窓から外へ出ていく音」を小さくする手段のひとつですが、音が聞こえなくなると言い切れるものではありません。音は窓以外の壁や床からも出ていくためです。この記事では、音が窓のどこを通って外へ出るのか、メーカーが公開している数値とその条件、窓だけでは足りない場合を、順番に説明します。
文:ガラパゴス内窓 編集部 / 更新日:2026年10月
先に結論:窓は「出口のひとつ」。小さくなる量には条件がある
- 原因:室内の音は、ガラスそのものを震わせて通るほか、サッシのすき間、壁、床からも外へ出ていきます。窓は出口のひとつです。
- 自分でできること:弾く時間や音量をくふうする、音を出す機器を窓から離す、室内の吸音(カーペットなど)を足す、の3つです。
- 窓が関わる場合:二重窓にすると、メーカーの試験条件の下で音が小さくなる数値が示されています。ただし、実際の住まいでは窓以外の経路が残るため、同じ数字にはなりません。
音が窓から外へ出ていく仕組み
楽器やテレビの音は空気の振動です。この振動が窓ガラスに当たると、ガラスが震えて、外側の空気も震わせます。ガラスが薄い、サッシに細いすき間がある、といった場合は、そのぶん音が外へ出やすくなります。
LIXILのよくある質問では、ガラスを厚くするほど防音効果が高まること、既存の窓と内窓のガラスの厚みが違うと効果が高まること、外窓と内窓のあいだの空気の層が広いほど遮音効果が向上することが説明されています。一方、Low-Eガラス(断熱のための特殊なガラス)に変えても、防音性能は良くならないとも書かれています。「断熱の窓=防音の窓」ではない点に注意してください。
この記事は、聞こえ方の説明ではなく「通り道」の話に絞っています。音の種類ごとの考え方や、近所に聞こえにくくする全体の進め方は、別の記事にまとめています(家の中の音が外へ漏れるときの考え方)。
内窓でどこまで変わる?メーカーの数値と条件
メーカーの数値は、どれも「決まった条件で測った値」です。数字だけを切り取ると誤解のもとになるので、条件もいっしょに書きます。
| メーカー | 示されている数値 | 条件 |
|---|---|---|
| YKK AP(ウチリモ 内窓) | 防音効果は約15dB。「騒音が半分以下に聞こえる程度」と説明 | 比べているのは、既存の一般的なアルミサッシ+単板ガラス5mm。内窓を付けた側は、外窓が単板ガラス5mm、中間の空気層84mm、内窓が複層ガラス(3mm+空気層12mm+3mm)。音の高さ(音域)によって効果は異なる、と明記 |
| LIXIL(インプラス) | 遮音等級T-3(35) | 引違い窓で、外窓の気密等級A-3(8)、中間の空気層80〜95mm、外窓が単板ガラス3mm、内窓が単板ガラス5mmの場合 |
ここで大切なのは、2つの数字が「同じ条件では測っていない」ことです。外窓のガラスの厚みも、内窓のガラスも、空気の層の幅も違います。数字の大小で製品を比べることはできません。
YKK APは、10dB下がると音は約半分に感じられるという目安も出しています。また、遮音等級のT-1からT-4は、おおむね25・30・35・40dBの音を遮る性能の目安として説明されています。ただしYKK APもLIXILも、これらは実験室で測った値であり、実際の住まいでは窓以外のすき間など条件が違うため、数値は変わることがあると注記しています。
なお、YKK APの公式ページには、赤ちゃん・犬・ピアノなど室内の音を使った聞き比べのシミュレーションがあり、「室内の音が外に漏れづらくなる」と案内されています。ただし、ピアノの音がどれくらい外へ出なくなるかを示す数値は、そのページには書かれていません。このため、この記事でも「楽器の音が聞こえなくなる」とは書けません。
二重窓にすると「音がこもる」ことがある
YKK APの公式ページには、二重窓にすると気密性が上がって音を外へ漏らしにくくなる一方、音がお部屋にこもることもある、と書かれています。窓の不具合ではない、とも説明されています。楽器を弾く方は、外に出にくくなったぶん、室内では音が大きく感じられる場合があります。音量にも気を配ってください。
窓だけでは解決しないとき:壁・床・換気口
YKK APの公式ページは、室内の音の環境は壁など建物の性能にも影響を受ける、と注記しています。環境省の生活騒音の資料でも、窓・床・壁・天井の遮音性能を高めると音の伝わりを減らせる、と説明されています。窓だけを良くしても、ほかの経路が弱ければ、全体としては音は残ります。
- 壁:うすい壁は音を通しやすく、窓だけ強くしても壁から出ることがあります。
- 床:ピアノの足やスピーカーから床へ伝わる振動は、窓では止められません。楽器店の資料では、防振マットなどで床への振動をおさえる方法が紹介されています。
- 換気口やドアのすき間:窓以外の開口部から音が出ていく可能性があります。ただし、この点は公的な資料で確かめられていないため、数字では示せません。
ピアノのように本格的に音を出す楽器については、窓よりも先に、部屋全体の防音を考えたほうがよい場合があります。内窓は、その対策の一部として位置づけるのが現実的です。
先に試せること
環境省の資料は、生活騒音は誰もが出す側にも受ける側にもなりうること、感じ方は人それぞれであること、規制がなくご近所での話し合いが基本になることを説明しています。窓の工事の前に、できることから試してみましょう。
- 弾く・見る時間を、夜ではなく昼間にする(目黒区の相談事例でも、夜の演奏を避けて昼間にすることがすすめられています)。
- 楽器やスピーカーを、窓から離して置く。
- 電子ピアノやスピーカーの下に防振マットを敷く。
- 窓を開けたままにしない。
- ご近所に一言ごあいさつしておく。
状況別:どこから考えるか(早見表)
| 音の種類 | 主な通り道 | 先に考えること | 内窓の役割 |
|---|---|---|---|
| テレビ・話し声・ペット | 窓ガラス、サッシのすき間 | 置き場所・音量 | 窓から出る音を小さくする助けになる |
| 管楽器・歌 | 窓+壁 | 時間帯・吸音 | 一部の対策。窓以外も確認 |
| ピアノ・ドラム | 空気中の音+床・壁を伝わる振動 | 防振マット・部屋全体の防音 | 空気中の音の一部のみ |
| 電子ピアノの打鍵音 | 床を伝わる振動 | 防振マット | ほとんど関係しない |
次の一歩
内窓の防音について製品ごとに知りたい方は、防音対策のページが、音の種類ごとの考え方は内窓の防音の記事が入口になります。ガラスの厚みや種類で迷うときは、ガラスの選び方も合わせてどうぞ。
お見積りは無料です。費用は窓の大きさ・数・ガラスの種類で変わるので、窓の写真を送っていただければお出しします。LINEでのご相談、またはお問い合わせからお気軽にどうぞ。
よくある質問
内窓を付ければ、ピアノの音は外に聞こえなくなりますか
聞こえなくなるとは言い切れません。メーカーの数値は実験室などの条件での値で、実際の住まいでは壁・床・すき間の影響を受けます。ピアノの振動は床や壁も伝わるため、窓の対策だけでは足りないこともあります。
ガラスは厚いほうが音は漏れにくいですか
LIXILとYKK APは、ガラスが厚いほど防音効果は高くなると説明しています。ただし、窓枠の寸法や重さの制約もあるため、お住まいの窓で選べるガラスは現地で確認が必要です。
マンションでも内窓は付けられますか
内窓は室内側に付けるため、付けられる場合が多いですが、管理規約で確認が必要なことがあります。くわしくはマンションの管理規約の記事をご覧ください。
まとめ:窓は大事な出口。でも全部ではない
内窓は、窓から外へ出る音を小さくする助けになります。ただ、数値は条件つきで、壁・床・すき間は別の話です。まずは置き場所・時間・防振から試し、それでも窓からの音が気になるときに、内窓を考えてみてください。
関連する記事
この記事の出典
- YKK AP「窓リフォームで窓からの騒音が半分に?防音・遮音対策」(2026年10月に確認)
- YKK AP よくあるお問い合せ「ウチリモ内窓の防音効果について」「サッシ・ドアの遮音性能について」(2026年10月に確認)
- LIXIL「窓リフォーム(内窓)の特長」ページ、よくあるご質問「防音対策として有効な内窓『インプラス』のガラス種類」(2026年10月に確認)
- 環境省「生活騒音」の資料(2026年10月に確認)
- 目黒区「相談事例と対策」(2026年10月に確認)

