
内窓(二重窓)を付けるとき、いちばん迷うのがガラス選びです。同じ内窓でも、ガラスが変わると効き目がはっきり変わります。「冬の寒さを何とかしたい」のか、「西日の暑さがつらい」のか、「外の音が気になる」のかで、選ぶべきガラスは違います。
この記事では、内窓で使うガラスの種類と、「悩み」と「窓の向き」から決める方法をまとめました。私たちの施工事例で実際にどのガラスが選ばれているかも、数えてご紹介します。
文:ガラパゴス内窓 編集部 / 更新日:2026年9月
先に結論:ガラスは「悩み」と「窓の向き」で、1か所ずつ決めます
家じゅうの内窓を同じガラスにする必要はありません。むしろ、窓ごとに変えたほうがうまくいくことが多いです。考える順番は次の3つです。
- その部屋のいちばんの悩みは何か(寒さ・暑さ・結露・音・視線)
- その窓はどの向きか(日差しがどれくらい当たるか)
- 見え方に希望はあるか(景色を見たい、目隠ししたい)
この3つが決まれば、ガラスはほぼ絞れます。以下、順番に説明します。
内窓で使うガラスは、大きく5種類
| ガラス | どんなガラスか | 向いている悩み |
|---|---|---|
| Low-E複層ガラス(断熱タイプ) | 2枚のガラスの間に空気やガスの層があり、金属の膜で室内の暖かさを逃がしにくくしたもの | 冬の寒さ・結露 |
| Low-E複層ガラス(遮熱タイプ) | 金属の膜で夏の日差しの熱をはね返すもの。断熱の性能もある | 夏の暑さ・西日 |
| 真空ガラス | 2枚のガラスの間を真空にしたもの。薄いのに断熱の性能が高い | 寒さ・結露を強く抑えたいとき |
| 防音合わせガラス | 2枚のガラスの間に音を伝えにくい膜をはさんだもの | 車・電車・人の声などの音 |
| 型ガラス(すりガラス調) | 表面に凹凸があり、光は通して視線をさえぎるもの。複層ガラスと組み合わせられる | 浴室・トイレ・道路側の目隠し |
ガラスそのものの仕組みは、ガラスマートのガラス辞典(Low-E複層ガラス・複層ガラス・合わせガラス)でくわしく解説しています。この記事では、内窓に使うときの選び方に絞ってお話しします。
断熱タイプと遮熱タイプは、何が違うのか
Low-E複層ガラスには「断熱タイプ」と「遮熱タイプ」があります。どちらも断熱の性能はありますが、日差しの熱の扱い方が違います。
- 断熱タイプ:冬の日差しの暖かさを部屋に取り込みつつ、室内の暖かさを外に逃がしにくくします。
- 遮熱タイプ:夏の日差しの熱をはね返して、部屋が暑くなりすぎるのを抑えます。
日本板硝子によると、この違いは金属の膜をどちらのガラスに付けるかで生まれます。日差しをさえぎるタイプは室外側のガラス、日差しを取り込むタイプは室内側のガラスに膜を置きます(出典:日本板硝子「ガラスワンダーランド」)。
ここで気をつけたいのは、遮熱タイプは冬も日差しをさえぎるという点です。冬の日当たりがいい南向きの部屋に遮熱タイプを付けると、冬の「ぽかぽか」も減ってしまいます。逆に、西日のきつい部屋に断熱タイプを付けると、夏の暑さへの効き目は遮熱タイプより小さくなります。
窓の向きで選ぶ
日差しの当たり方は、窓の向きでほぼ決まります。一般的な考え方は次のとおりです(出典:日本板硝子「ガラスワンダーランド」ほか)。
| 窓の向き | 日差しの特徴 | 選ばれやすいガラス |
|---|---|---|
| 西 | 午後の低い日差しが部屋の奥まで入る。夏の夕方がいちばん暑い | 遮熱タイプ |
| 東 | 朝の低い日差しが入る。夏の朝から室温が上がりやすい | 遮熱タイプ(寒さが悩みなら断熱タイプ) |
| 南 | 夏は日が高く入りにくい。冬は日が低く部屋の奥まで入る | 断熱タイプ(夏の暑さが強いなら遮熱タイプ) |
| 北 | 直射日光がほとんど入らない。冬に冷えやすい | 断熱タイプ |
ただし、これはあくまで目安です。南向きでも周りに日差しをさえぎる建物がない高い階なら夏はかなり暑くなりますし、東向きでも隣の家の陰になっていれば日差しはほとんど入りません。現場調査では、窓の向きに加えて、周りの建物や階数も見て決めます。

名古屋市瑞穂区の戸建てでは、冬に寒い1階の掃き出し窓に断熱タイプ、日差しの強い3階の掃き出し窓に遮熱タイプを付けました。同じ名古屋市の南区では、東向きの腰窓2か所に遮熱タイプ、南の掃き出し窓に断熱タイプ(クリア)と、1軒の中で使い分けています。
関連する施工事例:階ごとに使い分け(名古屋市瑞穂区)/向きごとに使い分け(名古屋市南区)
施工事例68件で、実際に選ばれたガラス
このサイトに載せている施工事例のうち、ガラスの種類を書いている68件を数えました(2026年9月時点)。
| 選ばれたガラス | 件数 |
|---|---|
| 遮熱タイプのLow-E複層ガラス | 33件 |
| 断熱タイプのLow-E複層ガラス | 23件 |
| 1軒の中で遮熱と断熱を使い分け | 4件 |
| その他(真空ガラスだけ、防音合わせガラスだけ、Low-Eでない複層ガラス、タイプの記載がないものなど) | 8件 |
このほか、68件のうち12件で目隠しのための型ガラス・すりガラスを、6件で防音合わせガラスを、3件で真空ガラスを一部の窓に使っています。夏の暑さのご相談が多い地域(大阪・名古屋・福岡など)の事例が中心なので、遮熱タイプがやや多くなっています。寒さが中心の地域では、割合は変わるはずです。
悩みで選ぶ
冬の寒さ・結露が悩み
断熱タイプのLow-E複層ガラスが基本です。ガラスの間にアルゴンガスを入れたものは、空気より熱が伝わりにくく、さらに断熱の性能が上がります。窓が多くて寒い角部屋や、北向きの部屋で「もっと」と思う場合は、真空ガラスも候補になります。結露の悩みについては二重窓で結露対策もご覧ください。
夏の暑さ・西日が悩み
遮熱タイプのLow-E複層ガラスを選びます。メーカーによって、より日差しをさえぎる「高遮熱」の種類もあります。豊中市のマンションでは、西日の差し込むリビングの掃き出し窓に高遮熱タイプを付けました(事例)。
外の音が悩み
内窓を付けるだけでも、窓が二重になって音はやわらぎます。さらに音を重く見るなら、防音合わせガラスを選びます。厚さの違うガラスを組み合わせる方法もあります。音の悩みについては二重窓で防音対策でもご紹介しています。
外からの視線が気になる
型ガラス(すりガラス調)を組み合わせたLow-E複層ガラスがあります。断熱・遮熱の性能を持たせたまま、目隠しにできます。浴室・トイレ・階段・道路に面した窓でよく使います。
もっと断熱したいときは、真空ガラス
真空ガラスは、2枚のガラスの間を真空にしたガラスです。熱を伝える空気がほとんどないため、薄いのに断熱の性能が高いのが特長です。

堺市堺区のマンション角部屋では、窓が多く冬の寒さが強いことから、7か所のうち6か所に真空ガラスを使いました(事例)。真空ガラスの内窓については真空ガラス内窓のページでくわしくご紹介しています。
音が悩みなら、防音合わせガラス
防音合わせガラスは、2枚のガラスの間に音を伝えにくい膜をはさんだガラスです。割れても破片が飛び散りにくいという、合わせガラスの特長もあります。
福岡県宗像市のお宅では、外の音が気になる上下2か所の窓に、防音合わせガラスの内窓を付けました。東京都江戸川区では、引き違い窓だけに防音合わせガラスを使い、ほかの窓は断熱タイプのLow-E複層ガラスにしています。音の入り口になっている窓を見きわめて、その窓だけを防音のガラスにするのも一つの方法です。
関連する施工事例:防音合わせガラス(福岡県宗像市)/音の入る窓だけ防音ガラス(東京都江戸川区)
見え方も確かめておく:色味と目隠し
Low-Eガラスは金属の膜があるため、種類によってはうっすら色が付いて見えます。日本板硝子も、色味が変わる場合があることを注意点に挙げています(出典:日本板硝子「ガラスワンダーランド」)。メーカーのガラスの名前に「ブルー」「グリーン」「ニュートラル」「クリア」などとあるのは、この色味の違いです。景色の見え方を大事にしたい窓は、見本で色を確かめてから決めると安心です。

目隠しにしたい窓は、型ガラスを組み合わせます。長崎県佐世保市では、かすみ模様の型ガラスと遮熱タイプを組み合わせました(事例)。反対に、豊中市のお宅では、見積りの段階で型ガラスだったものを、景色と明るさを残したいというご希望で透明に変えています。どちらがいいかは、その窓から何が見えるかで決まります。
選ぶ前に知っておきたい注意点:熱割れと、窓の間の熱
内窓を付けると、外窓と内窓の間に熱がこもることがあります。LIXILは、外窓の網入りガラスや内窓のLow-Eガラスが、日差しによる温度差で、ごくまれに割れることがあると説明しています(熱割れ)。また、内窓と外窓を長い時間閉めたままにすると、外の環境によっては窓の間が高温になるため、少し開けて換気するよう案内しています(出典:LIXIL インプラス 取扱説明の「警告・注意」)。
同じくLIXILは、カーテンやブラインドをガラスに密着させない、冷暖房の風を直接ガラスに当てないといった点も挙げています。外窓が網入りガラスのお宅で遮熱タイプの内窓を考えるときは、現場調査のときにお伝えください。窓の向きや日当たりを見て、ご説明します。
補助金とガラスの関係
国の補助金(先進的窓リノベ事業など)は、窓全体の断熱の性能でグレードが決まり、グレードによって補助の額が変わります。内窓の場合、その性能を大きく左右するのがガラスです。同じ大きさの窓でも、ガラスの種類で補助の対象になるかどうか、どのグレードになるかが変わります。
補助金は年度ごとに条件や予算が変わるため、最新の内容は補助金のページでご確認ください。
お見積りは無料です。費用は窓の大きさ・数・ガラスの種類で変わるので、窓の写真を送っていただければお出しします。
よくある質問
1つの部屋で、窓ごとに違うガラスにできますか
できます。西向きの窓だけ遮熱タイプにする、道路側の窓だけ防音合わせガラスにする、といった組み合わせはよくあります。
今の窓がペアガラスでも、内窓のガラスで差が出ますか
出ます。今の窓がペアガラスでも、内窓のガラスを悩みに合わせて選ぶことで、暑さ・寒さへの効き目は変わります。今の窓がすでにLow-Eペアガラスのお宅に、遮熱タイプの内窓を付けた例もあります(福岡市南区の事例)。
どのガラスにするか、自分で決めないといけませんか
いいえ。現場調査のときに、お悩みと窓の向き・周りの様子をうかがって、窓ごとにご提案します。この記事は、そのときに「なぜこのガラスなのか」を分かっていただくための下調べとしてお使いください。ガラスの性能の違いは内窓の断熱性能・防音性能のページでも紹介しています。
まとめ:迷ったら「悩み → 向き → 見え方」の順に
内窓のガラスは、寒さ・結露なら断熱タイプ、暑さ・西日なら遮熱タイプが基本です。そこに窓の向きを重ね、音が悩みなら防音合わせガラス、目隠しが欲しいなら型ガラス、もっと断熱したいなら真空ガラスを考えます。家じゅう同じにする必要はなく、窓ごとに変えるのがうまくいくコツです。
内窓そのものの向き・不向きは、内窓のデメリットと後悔しない選び方にまとめています。製品ごとの違いはウチリモ・インプラス・プラストの各ページをどうぞ。沖縄にお住まいの方は、日差しと台風の多い気候に合わせて書いた沖縄の内窓ガラスの選び方(マドアーズ!沖縄)もあわせてご覧ください。
窓の写真と向きを教えていただければ、どのガラスが合いそうかの目安もお伝えできます。LINEでのご相談、またはお問い合わせからお気軽にどうぞ。
この記事の出典
- 日本板硝子「ガラスワンダーランド」Low-Eガラスのコラム(断熱・遮熱の違い、膜の位置、向きの目安、色味)
- LIXIL インプラス 取扱説明「警告・注意」(熱割れ、窓の間の高温と換気、カーテンやブラインドの注意)
- ガラパゴス内窓の施工事例(件数は2026年9月26日時点で、ガラスの種類を書いている68件を数えたもの)


