
冬の夜に停電して、エアコンもファンヒーターも止まってしまった。部屋がだんだん冷えてきて、どうしたらいいか分からない。そんな場面を想像して、「いまのうちに備えておきたい」と調べている方も多いと思います。
先に答えると、停電のときの寒さ対策でいちばん気をつけたいのは、暖かくする工夫そのものより、暖房器具の使い方です。換気不足による一酸化炭素中毒や、火事の注意が公的機関から出ています。窓まわりの工夫は、部屋の冷えをやわらげる助けの一つ、という位置づけです。この記事では、内閣府・消費者庁・NITE(製品評価技術基盤機構)・消防庁の研究機関・環境省の資料で確かめたことだけをまとめます。
文:ガラパゴス内窓 編集部 / 更新日:2026年10月
先に結論:停電時の寒さ対策で、押さえたい3つのこと
- 原因:停電すると、エアコンなどの暖房が使えなくなります。内閣府は、冷暖房器具が使えない状態でも暖をとる手段を備えておくよう案内しています。
- 自分でできること:まず、電気を使わなくても使える防寒の備えを用意します。火を使う暖房器具を使う場合は、換気と、燃えやすいものから離すことが基本です。
- 窓が関わる場合:環境省の資料では、暖房の熱の約58%が窓などの開口部から出ていくとされています。カーテンなどの窓まわりの工夫は、室温が下がりにくくなる助けの一つです。内窓も選択肢ですが、停電中に暖かくなる道具ではありません。
停電のとき、暖房はどうなるのか
内閣府の「家庭における地震時等の停電対策について」のページでは、停電したままでも自宅で過ごせるようにするため、火気の使用を想定しなければならない場合も考えられる、と書かれています。そのうえで、エアコンなどの冷暖房器具が使えない状態でも、暖をとる手段を備えておくよう案内しています。
同じページには、余震で暖房や調理に使う器具が倒れて火事になるおそれがあるため、倒れたときに燃焼が止まる機能などを意識して選ぶよう書かれています。火を使うときは、まわりの燃えやすいものが器具の上に倒れたり落ちたりしないよう注意が必要です。
この記事は、寒さそのものへの医学的な対処法ではなく、暮らしの備えと窓まわりの工夫が中心です。体調に不安があるときは、無理をせず、お住まいの自治体の案内を確認してください。
暖房器具を使うときの注意:一酸化炭素と火事
ここは公的な情報の引用です。ご自分の判断だけで進めず、お持ちの器具の取扱説明書もあわせて確認してください。
NITEの「製品安全情報マガジン」では、暖房器具や給湯器を使うとき、換気扇を回す、窓を開けるなどして、こまめに換気するよう案内しています。換気が足りないと、室内の酸素が減って不完全燃焼になり、一酸化炭素中毒になるおそれがあるためです。石油ストーブなどは就寝時に使わず、寝る前に確実に消火すること、一酸化炭素警報器をつけるのも有効な手段であることも書かれています。
同じ資料では、テント内や車内では、石油ストーブなどの暖房器具やガスこんろなどを使わないよう注意しています。大雪で動けなくなった車内に排ガスが充満し、中毒になったと考えられる事故も起きている、とのことです。
停電の備えとして使われる携帯発電機についても、消費者庁などが、排ガスに一酸化炭素が含まれるので屋内では使わず、屋外でも風通しのよい場所で、窓や出入口から離して使うよう呼びかけています。内閣府防災の広報誌でも、停電時に発電機を屋内や換気の悪い場所で使って、一酸化炭素中毒で亡くなった例が紹介されています。
火事については、消防庁の消防研究センターが、暖房器具は燃えやすいものとの間に安全な距離をとること、倒れたり落ちたりしない場所に置くこと、逃げ道をふさがないこと、子どもを近づけないことを挙げています。電気ストーブは、寝る前や離れるときにスイッチを切り、プラグを抜くことも案内されています。
さらに、消費者庁は、電気ストーブなど熱を出す電気器具は、停電のときにプラグをコンセントから抜いておくよう呼びかけています。停電が直ったとき、思いがけず動き出して火事になるのを防ぐためです。カセットボンベについては、NITEが、ストーブの近くや温風が出る場所に置かないよう注意しています。熱で破裂するおそれがあるためです。
窓まわりでできること:カーテンから始める
環境省の「インテリア、工夫次第でお部屋を快適に、さらに省エネに」というページでは、暖房の熱が窓などの開口部から流れ出る割合を58%としています。(過去のキャンペーン資料で、古い情報を含むことがあるという注記つきのページです。割合は、お住まいの窓や家の造りによって変わるため、目安としてご覧ください。)
同じページでは、窓まわりの工夫として次のようなことが挙げられています。
- 裏地つきのカーテンや、遮熱機能つきのカーテンは保温効果が高い。北側で風が強く当たる窓には、遮熱性の高いものが効果的。
- カーテンは床まで届く長さにして、すき間を減らすと、暖かい空気が逃げにくくなる。
- 床からも熱が逃げるため、ラグを敷くと床の冷たさをやわらげられる。ラグの下に断熱シートを敷くと、冷たい床と直接ふれなくなる。
停電中も、こうした工夫は電気を使わずにできます。ただ、あくまで「室温が下がりにくくなる助け」であり、これだけで部屋があたたまるわけではありません。どれくらい差が出るかは、お住まいの条件で大きく変わります。カーテンについては内窓とカーテンの関係の記事で、すき間風についてはすき間風と窓の関係の記事で説明しています。
状況別:何を優先するか
| 場面 | 公的資料で案内されていること | 窓まわりの工夫との関係 |
|---|---|---|
| 停電が起きる前(備え) | 暖をとる手段を備える。倒れると燃焼が止まる機能のある器具を選ぶ(内閣府) | カーテンの長さや裏地、ラグなど、電気がいらない工夫を先に整えておけます。 |
| 火を使う暖房器具を使うとき | こまめに換気する。就寝時は使わない。一酸化炭素警報器をつける(NITE) | 窓の工夫で冷えをやわらげても、換気は省けません。 |
| 電気ストーブなど電気の器具 | 停電中はプラグを抜く。離れるときはスイッチを切る(消費者庁・消防研究センター) | 窓まわりとは関係なく、安全のための基本です。 |
| 車内・テント内 | 石油ストーブなどは使わない(NITE) | 窓の工夫は関係しません。 |
| 寒さがつらい・不安なとき | 自治体の避難情報を確認する | 窓の工夫より、安全な場所への移動が先です。 |
内窓を考えるのは、どんなときか
環境省の同じページでは、二重サッシなどの高断熱・高気密のリフォームは、より高い効果が期待できる一方で、まずはカーテンなどの工夫から始められる、としています。内窓は、今ある窓の内側にもう1つ窓を付ける方法で、壁を壊さずに付けられる場合が多いものです。
ただし、次の点は正直にお伝えします。
- 内窓は熱をつくる道具ではないので、停電中に部屋があたたまるわけではありません。室温が下がりにくくなるための助けの一つです。
- 停電の寒さは、窓だけでなく、壁・床・天井や、家の造りでも変わります。
- 窓の状態や取り付けの条件によっては、付けられない場合もあります。
- 火を使う暖房を使うときの換気は、内窓があっても必要です。
ふだんの冬も窓ぎわが冷えて困っている、という方は、備えを兼ねて内窓を検討する価値はあります。内窓を付ける順番や、窓以外の場所との兼ね合いは断熱リフォームの順番の記事に、避難のときの内窓の開け方は内窓と避難の記事にまとめています。
次の一歩
冬の窓ぎわの冷えを、ふだんから知っておきたい方は冬の寒さ対策のページが、内窓の断熱の考え方は内窓の性能のページが、読み進める入口になります。窓の工夫を比べたいときは窓の対策を比べる記事も参考になります。
お見積りは無料です。費用は窓の大きさ・数・ガラスの種類で変わるので、窓の写真を送っていただければお出しします。LINEでのご相談、またはお問い合わせからお気軽にどうぞ。
よくある質問
停電のとき、石油ストーブを使っても大丈夫ですか
NITEは、換気をこまめにすること、就寝時には使わないこと、一酸化炭素警報器をつけることを案内しています。倒れたときに燃焼が止まる機能などを意識して選ぶよう、内閣府も書いています。お持ちの器具の使い方は、取扱説明書でご確認ください。
窓に何かすれば、停電中でも暖かく過ごせますか
「暖かく過ごせる」とは言い切れません。裏地つきカーテンなどは、環境省のページで保温効果が高いとされていますが、熱をつくるものではないので、室温が下がりにくくなる助けの一つとお考えください。
車の中なら暖房を使ってもいいですか
NITEは、テント内や車内では、石油ストーブなどの暖房器具やガスこんろを使わないよう注意しています。大雪で動けなくなった車内に排ガスが充満し、中毒になったと考えられる事故も報告されています。
まとめ:暖房器具の安全が先、窓まわりは助けの一つ
停電の寒さ対策で公的機関が強調しているのは、暖をとる手段を備えること、そして火を使う器具の換気と火事の注意です。窓まわりの工夫は、カーテンや床の対策など電気のいらないものから始められます。内窓は、ふだんの冬の冷えと、停電への備えを兼ねて考える選択肢の一つです。まずは手軽な工夫と安全な暖房器具の使い方から、無理なく整えてください。
関連する記事
この記事の出典
- 内閣府(防災担当)防災情報のページ「家庭における地震時等の停電対策について」(2026年10月に確認)
- 内閣府(防災担当)広報誌「ぼうさい」第101号「防災の動き」(2026年10月に確認)
- NITE(製品評価技術基盤機構)製品安全情報マガジン Vol.375「一酸化炭素中毒の事故」(2026年10月に確認)
- NITE 製品安全情報マガジン Vol.443「冬に気を付けたい事故」(2023年12月26日号、2026年10月に確認)
- 消費者庁「携帯発電機・カセットこんろ・モバイルバッテリーの使用にご注意ください」(2022年8月26日、2026年10月に確認)
- 消費者庁 注意喚起(2023年8月29日、携帯発電機・停電時の電熱器具、2026年10月に確認)
- 消防庁消防大学校 消防研究センター「火気器具等の取扱いについて」(2026年10月に確認)
- 環境省 COOL CHOICE「インテリア、工夫次第でお部屋を快適に、さらに省エネに」(2026年10月に確認)

