
冬の朝、あたたかい寝室から廊下に出たとたん、ひやっとして足が止まる。階段をおりるときに、手すりまで冷たく感じる。玄関で靴をはこうとすると、床からの冷えが足にのぼってくる。暖房をつけている部屋にいるときは気にならないのに、「部屋から部屋へ移る道」だけが寒い、と感じたことはありませんか。
いちばん知りたいのは「どうして通り道だけ寒いのか」と「窓で変えられるのか」だと思います。先に答えると、廊下・階段・玄関は、ふだん暖房をつけない場所なので、暖房のある部屋との温度の差が生まれやすい場所です。窓はそのうちの一つの要因で、小さな窓なら手を打てる余地があります。一方で、玄関ドアそのものは内窓の対象ではありません。この記事では、公的な資料で確かめた考え方と、できること・できないことを正直にお話しします。
文:ガラパゴス内窓 編集部 / 更新日:2026年10月
先に結論:寒さは「部屋」より「通り道」で感じやすい
- 原因:暖房のある部屋と、暖房のない廊下・階段・玄関との温度の差です。国土交通省は、部屋間の温度差をなくすには、居室だけでなく家全体を暖かくすることが重要としています。
- 自分でできること:ドアを開けっぱなしにしない、暖房の風を通り道に向けすぎない、小型の暖房器具を取扱説明書どおりに使うなど。どれも大きな工事はいりません。
- 窓が関わる場合:廊下や階段の小窓、玄関まわりの窓は、内窓で冷えをやわらげられる場合があります。ただし玄関ドアは内窓の対象ではなく、別の工事の話になります。
「部屋ごと」でなく「家ぜんたい」で考える
寒さ対策というと、リビングや寝室など、長くいる部屋を考えがちです。ただ、国土交通省の「健康&快適生活」のページでは、部屋間の温度差をなくすために、居室だけでなく家全体を暖かくすることが重要と書かれています。同じページでは、断熱改修によって居間や脱衣所の室温が上がり、家の中での1日の身体活動が最大で約50分増える可能性がある、とも紹介されています。これは調査から見えた傾向で、「こうすれば必ずこうなる」という約束ではありません。
同じページには、居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅で、熱め(42℃以上)の入浴が約1.7倍に増える、という調査結果もあります。健康への影響は、まだ調べられている途中のことも多く、この記事では「温度の差が小さいほうが、移動のたびの負担を感じにくい」という生活の面から考えます。体との関係を詳しく知りたい方は、ヒートショックと内窓の記事をご覧ください。
廊下・階段・玄関は、家の中をつなぐ「通り道」です。そこが外の空気に近い温度まで冷えていると、暖かい部屋との差は、部屋を出入りするたびに体で感じる形になります。
まず、お金をかけずにできること
- 部屋の暖房の空気を、少し通り道にも回す。環境省の解説では、暖房で温めた空気は軽く、部屋の上のほうに集まるとされています。サーキュレーターで空気をかき混ぜる工夫も紹介されています。
- 消費者庁は、冬は家の中でも冷え込みや温度差が生じやすいとして、入浴前に脱衣所や浴室を暖めることを呼びかけています。廊下やトイレに関する具体的な呼びかけは、そのページにはありません。
- 玄関や廊下で長く立ち止まらない動線にする。上着や荷物を、部屋の中の暖かい側に置くのも一案です。(編集部の一般的な工夫で、効果の大きさは住まいによって変わります。)
- 小型の暖房器具を足元に置く場合は、取扱説明書に従い、置き場所と換気に気をつけます。火を使うものは特に注意してください。
これらで足りるご家庭も少なくありません。それでも、小窓のそばだけが冷たい、窓の下から冷気を感じる、という場合に、窓を見直す価値が出てきます。
廊下・階段の小窓と、玄関まわりの窓でできること
廊下の突き当たりや階段の途中、玄関のそばにある小さな窓は、大きな窓ほど目立ちませんが、冷えたガラスの面であることは同じです。内窓は、今ある窓の室内側にもう一つ窓を付けて、あいだに空気の層をつくる方法です。窓から入る冷えをやわらげたいときの選択肢になります。
LIXILの公式FAQによると、内窓「インプラス」は、枠の有効寸法が、引違い窓で70mm以上、開き窓・FIX窓で55mm以上あることが目安で、足りない場合は「ふかし枠」を使うとされています。一方、取り付けられない窓もあります。たとえば、エアコンや換気扇が付いている窓、内倒しや内開きなどの開き方の窓、天窓のように垂直な壁にない窓です。階段や廊下の小窓は、窓の形や枠の奥行きが家ごとに違うので、現地の窓を見てからでないと、付けられるかはお答えできません。
階段の窓は、高い位置にあって手が届きにくいことがあります。内窓を付けたあとの開け閉めや掃除のしやすさも、先に考えておくと安心です(高い位置の窓の記事、小さな窓の記事)。玄関まわりの窓も同じで、窓の種類や枠の状態で、付けられるかどうかが決まります。
窓の断熱を変えても、変わらないものもあります。床や壁、ドアのすきまからの冷え、廊下に面した換気口からの冷気などです。窓だけで通り道が暖かくなる、とは言えません。
玄関ドアは、内窓の対象ではありません
ここは正直にお伝えします。内窓は「窓」に付けるもので、玄関ドアに付けるものではありません。玄関ドアの冷えが気になる場合は、ドアそのものを取りかえる工事など、別の方法になります。ドアの工事は、私たちの内窓の工事とは別の話になるため、内容や費用についてはここではご案内できません。
国の補助事業「先進的窓リノベ2026事業」の公式ページでは、ドアは「屋外から施錠できる建具」と書かれ、窓とは別の区分で扱われています。ドア交換(カバー工法)の補助には、数や位置、ドアに付くガラスだけの交換は対象外など、いくつかの条件があります。補助の対象や条件は年度ごとに変わるため、お使いになる前に、公式ページで最新の情報をご確認ください。
なお、玄関ドアの横や上にある細い窓については、ドアと一体のものか、ふつうの窓かで扱いが変わります。写真を送っていただければ、どちらにあたるかを確認します。
| 気になる場所 | 先にできること | 窓でできること | 窓では変わりにくいこと |
|---|---|---|---|
| 廊下 | 暖房の空気を回す。ドアの開け閉めを意識する | 小窓があれば、内窓で窓ぎわの冷えをやわらげる | 床・壁・ドアのすきまからの冷え |
| 階段 | 上下の移動が短くなる動線にする。足元を冷やさない | 階段の窓に内窓を検討。高い位置は開け閉めのしやすさも確認 | 階段そのものの構造や、家全体の断熱 |
| 玄関の窓 | 上がりかまちや床に敷物を置くなど、足元の工夫 | 枠の状態により、内窓を検討 | 窓がない玄関は、窓では解決できない |
| 玄関ドア | すきまが気になる場合はドアの状態を確認する | 内窓の対象ではありません | ドアの交換などは別の工事です |
次の一歩
冬の窓まわりの対策の全体像は冬の寒さ対策のページに、窓の断熱の考え方は内窓の性能のページにまとめています。向き不向きを先に知りたい方は内窓のデメリットの記事もどうぞ。
お見積りは無料です。費用は窓の大きさ・数・ガラスの種類で変わるので、窓の写真を送っていただければお出しします。LINEでのご相談、またはお問い合わせからお気軽にどうぞ。
よくある質問
廊下の窓に内窓を付ければ、廊下は暖かくなりますか
窓ぎわの冷えはやわらぎますが、廊下全体が暖かくなるとは言えません。床や壁、ドアのすきまなど、窓以外の冷えも関わるためです。窓の数や大きさ、家全体の断熱の状態で変わります。
玄関ドアにも内窓は付けられますか
付けられません。内窓は窓に付けるものです。玄関ドアの冷えが気になる場合は、ドアの状態を確認したうえで、ドアの交換など別の方法を考えることになります。
マンションの廊下側の窓にも付けられますか
付けられる場合があります。ただし、廊下側(共用部に面した窓)は、管理規約で扱いが決まっていることがあります。LIXILも、集合住宅では管理組合などへの事前の承認が必要な場合があるとしています。先に管理規約を確認してください(マンションの管理規約の記事)。
まとめ:通り道の寒さは、温度差と窓、ドアを分けて見る
廊下・階段・玄関の寒さは、暖房のある部屋とのあいだの温度差から来ています。まずは空気を回す、足元を冷やさないなど、手軽な工夫から始めて大丈夫です。そのうえで小窓や玄関まわりの窓が冷たいなら、内窓が選択肢になります。玄関ドアは内窓の対象外なので、窓とは分けて考えるのが現実的です。
関連する記事
この記事の出典
- 国土交通省「健康&快適生活|家選びの基準変わります」(令和4年11月時点の情報。2026年10月に確認)
- 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」(2020年11月19日公表。2026年10月に確認)
- 環境省 ウォームビズ(デコ活)の解説ページ(暖房の空気・サーキュレーター。2026年10月に確認)
- 先進的窓リノベ2026事業【公式】「対象工事の詳細【ドア交換(カバー工法)】」「対象工事の詳細【補助対象にならない例】」(2026年10月に確認)
- LIXIL「内窓『インプラス』の取り付けについて知りたい」FAQ(2026年10月に確認)

