
冬の脱衣所や廊下、窓のそばに立つと、ひやっとして「このまま入浴して大丈夫かな」と不安になることはありませんか。家の中の寒い場所と暖かい場所の温度差は、体への負担になることがあります。
この記事では、国などの公的機関が公表している情報をもとに、「ヒートショックとは何か」「窓の断熱でできること」「窓以外にできる工夫」を順番にお伝えします。なお、ご自身やご家族の持病・体調についての個別のご相談は、かかりつけの医師にお願いします。この記事は医療のアドバイスではありません。
文:ガラパゴス内窓 編集部 / 更新日:2026年10月
先に結論:窓の断熱は「助け」になるが、それだけでは足りない
- ヒートショックは、部屋どうしの温度差で血圧が大きく動くことを指します。
- 窓は家の熱の出入りが大きい場所のひとつです。内窓は、窓まわりの冷えをやわらげて温度差を小さくする助けになります。ただし、内窓だけで事故を防げるとは言えません。
- 脱衣所や浴室を先にあたためる、湯の温度を高くしすぎない、といった入浴時の工夫は、窓の工事とは別に今日からできます。
- 窓の工事が合うかどうかは、お住まいの状況によって変わります。まずは今の窓の写真を見せていただければ、必要かどうかも含めてお話しします。
ヒートショックとは?冬の入浴中の事故の数字
ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移るときなど、まわりの温度が急に変わることで、血圧が大きく上がったり下がったりすることです(環境省の「ウォームビズ」実験レポートでは、室温の差による急激な血圧の変化と説明されています)。
消費者庁が厚生労働省の人口動態統計をもとに公表した数字では、2024年に「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水」で亡くなった方は7,776人で、そのうち65歳以上が7,363人(約95%)でした。こうした事故は、寒い冬の時期に多いとされています。
この数字は、浴槽での溺水事故の全体です。原因がすべてヒートショックというわけではなく、長く湯につかることなどもかかわるとされています。それでも、冬の入浴は気をつけたい場面だと、国が注意をよびかけています。
なぜ窓際や脱衣所は寒いのか
住宅では、窓などの開口部からの熱の出入りが5〜7割と言われています(環境省)。つまり、窓は壁にくらべて熱が逃げやすく、冬は外の冷たさが伝わりやすい場所です。窓のそばで冷気を感じるのは、このためです。
脱衣所や浴室は、ふだん暖房をつけないことが多く、窓がある場合は外の寒さの影響をそのまま受けます。リビングとの温度差が大きくなりやすいのは、そうした理由からです。
国土交通省の調査(スマートウェルネス住宅等推進事業)では、居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅は、入浴事故のリスクが高いとされる42℃以上の熱めの入浴をする人が約1.7倍に増えたと報告されています。また、部屋どうしの温度差が大きく床の近くが冷えている住宅では、住む人の血圧が有意に高い傾向もありました。これは全国の住宅を対象にした調査で、「寒い家の人は熱めの湯を好む傾向がある」という関係を示すもので、窓の工事で必ず変わると約束するものではありません。
窓の断熱でできること:内窓は温度差をやわらげる助け
内窓は、今ある窓の内側にもう1つ窓をつける工事です。窓と窓のあいだに空気の層ができるため、外の冷たさが室内に伝わりにくくなり、窓のそばの冷え込みや、部屋どうしの温度差を小さくする助けになります。
環境省の実験レポートでも、浴室の窓の内側に簡易な内窓をつけたところ、つけない場合より入浴後の浴室の温度が保たれた事例が紹介されています(住宅4戸での実験。住まいや天気で結果は変わります)。
ただし、内窓でできるのは「窓まわりからの冷え」をやわらげることまでです。脱衣所の広さ、壁や床の冷たさ、暖房の有無によっても室温は変わります。「内窓をつければ安全」とは言えません。脱衣所や浴室の窓については、浴室・脱衣所の内窓のページで、湿気やお手入れも含めて説明しています。
窓の工事は、すべてのお宅で必要とは限りません。もともと窓が小さい、暖房で十分あたたかい、といった場合は、窓以外の工夫で足りることもあります。無理におすすめすることはありませんので、安心してご相談ください。
窓以外の工夫:入浴前から入浴中までの手順
消費者庁は、冬の入浴について次のような点を注意としてあげています。窓の工事とは別に、すぐに取り入れられる内容です。
| 場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|
| 入浴の前 | 脱衣所と浴室をあらかじめあたためておく |
| 入浴の前 | 食事の直後、お酒を飲んだあと、薬を飲んだあとの入浴は避ける |
| 入浴の前 | 入浴することを家族に伝えておく |
| 入浴中 | 湯の温度は41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安にする |
| 入浴中 | 浴槽から急に立ち上がらない |
環境省の実験レポートでは、入浴前に浴室の壁や床へお湯をかけておく方法も紹介されています。脱衣所に小さな暖房器具を置く方法もよく知られていますが、使い方は機器の説明書に従い、火災ややけどに気をつけてください。
窓の工事を考えるときの進め方
「どの窓から手をつけるか」は、寒さを感じる場所と使う時間で決めると分かりやすくなります。たとえば、脱衣所や浴室に窓があるか、寝室や廊下の窓が冷えるか、といった順番で考えます。
ガラスの種類は、断熱を重視するか、防音や結露も気になるかで選び方が変わります(内窓のガラスの選び方)。内窓にもデメリットはあるため、先に知っておくと後悔が減ります(内窓のデメリットと選び方)。
お見積りは無料です。費用は窓の大きさ・数・ガラスの種類で変わるので、窓の写真を送っていただければお出しします。
よくある質問
内窓をつければ、ヒートショックは起きなくなりますか
そうは言えません。内窓は窓まわりの冷えをやわらげ、部屋どうしの温度差を小さくする助けになりますが、体調や入浴のしかたにも左右されます。脱衣所の暖房や湯の温度などの工夫もあわせて考えてください。個別の健康の心配は医師にご相談ください。
脱衣所に窓がない場合は、内窓は必要ないですか
脱衣所自体に窓がなければ、そこへの内窓は必要ありません。その場合は、脱衣所の暖房や、廊下・リビングなど家全体の温度差を見直すほうが合っていることもあります。
賃貸やマンションでも内窓をつけられますか
つけられる場合もありますが、マンションは管理規約、賃貸は貸主の許可の確認が先に必要です(マンションの管理規約、賃貸での設置)。
まとめ:窓も入浴の工夫も、できることから
冬の寒さによる体への負担をやわらげるには、窓の断熱と、入浴前後の工夫の両方が助けになります。内窓は窓まわりの冷えをやわらげる選択肢のひとつですが、それだけで十分とは言えません。まずは脱衣所をあたためる、湯温を上げすぎないといった身近なことから始めて、窓については必要かどうかをゆっくり考えてください。
窓の写真を送っていただければ、状況に合う方法をご案内します。LINEでのご相談、またはお問い合わせからお気軽にどうぞ。
関連する記事
この記事の出典
- 消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(2025年12月23日。厚生労働省「人口動態統計」2024年の数字)
- 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」(2020年11月19日)
- 国土交通省「健康&快適生活」ページ(スマートウェルネス住宅等推進事業の調査結果)/同「住宅内の室温の変化が居住者の健康に与える影響」(2019年1月24日)
- 環境省「デコ活アクション 電気も省エネ 断熱住宅」/同「ウォームビズ」実験レポート(2017年2月21日)


