
南向きのリビングは、冬の昼間は日ざしでぽかぽか。ところが日が落ちると、窓のそばからすっと冷えてくる。そして夏は、朝から窓ぎわが暑い。東向きの寝室も、朝日はうれしいのに、夏は早い時間から部屋がむわっとして、冬の夜明け前は冷え込む。「日当たりがいい部屋なのに、どうして両方つらいのだろう」と感じたことはありませんか。
先に答えると、日ざしの熱が入るのは「日の出ている間だけ」だからです。昼のぽかぽかと、夜の冷えは、別々の仕組みで起きています。この記事では、南向き・東向きの窓の日ざしの入り方と、冬も夏も無理なく過ごすための考え方を、国やメーカー公式の資料で確かめた範囲でまとめました。冬の日ざしの取り入れ方そのものは、別の記事(冬の日ざしを取り入れる方法)でくわしく説明しているので、ここでは「一日の流れと、夏と冬の両立」に絞ります。
文:ガラパゴス内窓 編集部 / 更新日:2026年10月
先に結論:日ざしが味方なのは昼だけ。夜と夏の備えを別に考えます
- 原因:日ざしの熱は昼だけの「もらいもの」です。夜は日ざしがないので、窓から熱が逃げる影響をそのまま受けます。夏は逆に、日ざしの熱が窓から入りすぎて暑くなります。
- 自分でできること:冬の昼はカーテンを開けて日ざしを入れ、日が傾いたら閉める。夏は窓の外側(すだれ・シェード・オーニングなど)で日ざしを止める。どれも大きな費用はかかりません。
- 窓が関わる場合の選択肢:南向きは冬の日ざしを取り入れやすい「日射取得型」、東向きは夏の日ざしを抑える「日射遮蔽型」がメーカーの基本の考え方です。内窓でも、同じようにガラスの種類を選べます。
南向きと東向きで、日ざしの入り方はこうちがう
南向きの窓では、太陽の高さが夏と冬で大きく変わります。YKK APの案内では、夏の高い位置の日ざしは、軒やひさし、バルコニーが張り出していれば遮りやすく、冬の低い位置の日ざしはひさしなどに邪魔されずに差し込む、と説明されています。つまり南向きは、もともと「冬は入りやすく、夏は遮りやすい」向きです。
東向きは、朝いちばんの日ざしが入る向きです。LIXILの案内では、朝日をとり入れるために少し大きめの窓を置く考え方が紹介されています。一方で、夏の日射対策として、日射遮蔽型のガラスをすすめています。YKK APも、東向きは日射遮蔽型のガラスで、夏の日射対策と冬の熱の流出対策を、という考え方です。
ひさしの長さ、隣の建物の影、お住まいの地域によって、実際に日ざしが届く時間は大きく変わります。「南向きだから必ず日がよく当たる」とは言い切れないので、ご自宅の窓で、何時ごろ日が入って、何時ごろ陰るかを一度見てみるのがおすすめです。
冬:昼は暖かいのに、夜に冷える理由
環境省の「みんなでおうち快適化チャレンジ」では、太平洋側など日射量の多い地域では、1間角(幅1.8m×高さ1.8m)の窓から1時間に約600ワット、電気ストーブ1台分の太陽熱が入ると言われているとして、日中はレースのカーテンも開けて日ざしを取り入れるよう紹介しています。南向きや東向きの窓の「昼のぽかぽか」は、この日ざしの熱です。ただし、地域や天気、窓の向きで変わる目安で、曇りの日は期待できません。
同じページには、暖房を使っているとき、住宅から出ていく熱の多くは窓などの開口部から逃げる、という図の説明もあります。夜は、日ざしによる熱の補給がなくなるので、窓から熱が逃げる影響が目立ちます。昼にためた暖かさが、夕方以降に窓から抜けていくと感じるのは、自然なことです。
ここで大切なのは、日射取得型のガラスにしても、夜の冷えが「なくなる」わけではないことです。日射取得型は、昼に入る日ざしの熱を活かすガラスです。夜の冷えをやわらげるのは、ガラスの断熱性や、窓まわりの空気の層など、別の働きです。内窓は、今ある窓の内側にもう一つ窓を付けて、この断熱を足す方法です。
夏:日当たりのよさが、そのまま暑さになる
環境省のページでは、夏の冷房時に外から入ってくる熱は、窓から入る割合がもっとも高く73%とされています(図の出典は経済産業省の資料)。日ざしがよく当たる窓ほど、この影響を受けやすくなります。
対策として、環境省は「ひさしや軒を出す」「ルーバーを付ける」「オーニング(日よけ)を付ける」といった、窓の外側で日ざしを遮る方法を紹介しています。LIXILも、夏の日ざしは窓の内側のカーテンではなく、窓の外側のシェードや外付けブラインドで遮ることが大切、としています。室内側のカーテンは手軽ですが、日ざしの熱がいったん部屋に入ってから遮る形になるため、外側ほどは効きにくい、ということです。
内窓は部屋の内側に付けるものなので、日ざしを窓の外で止める働きはありません。西日の場合の考え方は西日が暑い部屋の記事にまとめています。
ガラスの選び方:取得型と遮蔽型、どちらを向きに合わせるか
日射取得型は、冬の日ざしの熱を取り込みやすいガラス、日射遮蔽型は、日ざしの熱を通しにくいガラスです。区分の数字や、インプラスでの呼び名のちがいは、冬の日ざしの記事にまとめています。ここでは、南向き・東向きでの選び方の考え方だけ、表にしました。メーカー公式の目安で、窓の大きさ・ひさしの有無・地域によって変わります。
| 窓の向き | メーカーの考え方 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 南向き | 冬の低い日ざしを取り入れるため、日射取得型が合う(YKK AP、LIXIL) | 夏はひさし・シェードなど外側で遮る前提。内窓だけでは夏の日ざしは止められない |
| 東向き | 夏の日射対策として日射遮蔽型が案内されている(YKK AP、LIXIL) | 冬の朝日を活かしたいなら、日射取得型にシェードを組み合わせる案内もある(LIXIL) |
| 日ざしがあまり入らない窓(日陰・北側など) | 日ざしの取り込みより、断熱を高めて寒さや結露を抑える考え方 | くわしくは北向きの部屋の記事 |
お住まいの地域でも考え方が変わります。LIXILの案内では、日射が少なく寒い地域では断熱を優先して遮蔽型を使い、日ざしが入る部屋は取得型も検討する、日射が多く暖かい地域では夏の暑さ対策を優先する、と分けています。ガラスの種類全体の考え方は内窓のガラスの選び方にもあります。
ひとつの家の中で、窓ごとにガラスを変えることもできます。南のリビングは取得型、東の寝室は遮蔽型、といった組み合わせです。ただ、内窓は今ある窓の内側に付けるため、今の窓のガラスによっては選べない組み合わせもあります。その窓に何が付けられるかは、現地で確かめてからのご案内になります。
次の一歩
冬の寒さ全体の考え方は冬の寒さ対策のページ、夏の暑さの考え方は夏の暑さ対策のページで説明しています。二階の暑さが気になる方は二階が暑い部屋の記事も参考になります。
お見積りは無料です。費用は窓の大きさ・数・ガラスの種類で変わるので、窓の写真を送っていただければお出しします。窓の向きと「何時ごろ、どちらがつらいか」を添えていただけると、ご提案しやすくなります。LINEでのご相談、またはお問い合わせからお気軽にどうぞ。
よくある質問
南向きなら、日射取得型にしておけば間違いありませんか
間違いない、とまでは言えません。冬には合う考え方ですが、夏に日が当たる大きな窓では暑さを感じやすくなることがあります。ひさしやシェードなど外側で遮る工夫を同時に考えるのが前提です。
東向きの寝室は、遮蔽型だと冬の朝が寒くなりますか
遮蔽型は日ざしの熱を入れにくいので、冬の朝日の暖かさは取り入れにくくなります。冬の朝日を活かしたいか、夏の暑さをおさえたいか、どちらを優先するかで選びます。迷うときは、取得型とシェードの組み合わせも案内されています(LIXIL)。
夜の冷えは、カーテンを閉めるだけで変わりますか
変わることはありますが、どれくらい変わるかは窓やカーテンで大きく違い、数字でお約束はできません。日が傾いたらカーテンを閉める、という手軽な工夫は試す価値があります。それでも窓ぎわが冷えるときに、窓の断熱を見直す、という順番がおすすめです。
まとめ:昼は日ざしを活かし、夜と夏は別の手で備える
南向き・東向きの窓は、日ざしがありがたい分、夏の暑さと夜の冷えという反対の悩みが出やすい窓です。日ざしの熱は昼だけのものなので、夜の冷えには窓の断熱、夏の暑さには窓の外側の日よけ、とそれぞれ手を分けて考えると整理しやすくなります。まずはカーテンの開け閉めや外側の日よけから試して、足りないときにガラスの種類を選ぶ内窓を考えれば十分です。
関連する記事
この記事の出典
- YKK AP「断熱するなら“魔法瓶そっくり?”のガラス」(ガラス選びの講座、2026年10月に確認)
- LIXIL「樹脂窓EW 日射熱の取得と抑制」、「インプラス ガラス」(2026年10月に確認)
- 環境省「みんなでおうち快適化チャレンジ」断熱リフォーム関連ページ(2021年12月22日、2021年6月23日の記事。夏の熱の割合の図の出典は経済産業省の資料)

