
冬になると窓がびっしょり濡れて、気づけばサッシや窓まわりの壁に黒いカビ。賃貸にお住まいなら、「退去のときに、このカビの費用を請求されるのでは」と心配になりますよね。
結論から言うと、結露によるカビの費用を誰が払うかは、「結露に気づいたあと、どうしていたか」で大きく変わります。この記事では、国土交通省のガイドラインがどう考えているかを原文にあたって整理し、今日からできることを、記録の残し方と窓の結露対策に分けてまとめました。窓の工事の専門店として、窓の結露を元から減らす方法もご紹介します。
文:ガラパゴス内窓 編集部 / 更新日:2026年9月
※この記事は、国のガイドラインの考え方をご紹介するものです。実際の負担は、契約の内容や部屋の状態で変わります。個別の争いごとは、下の「困ったときの相談先」にご相談ください。
先に結論:分かれ目は「知らせたか」と「手入れをしていたか」
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」は、結露について次のように考えています。
- 結露は、建物のつくりが原因であることが多い
- ただし、結露に気づいていたのに大家さんに知らせず、拭き取るなどの手入れもせず、壁などを傷めた場合は、借りている人の負担になることが多い
つまり、「知らせる」と「拭く」をしていれば、結露のカビをまるごと借りている人の負担にされる理由は小さくなります。逆に、どちらもしていないと、負担を求められる可能性が高くなります。
国のガイドラインは、結露をどう書いているか
ガイドラインは、退去のときの傷みや汚れを「普通に住んでいても生じるもの」と「住み方や手入れが悪くて生じたもの」に分けています。結露のカビは、その間にある「普通に住んでいても生じるが、その後の手入れが悪くて広がったもの」に分類されています。
考え方の欄には、次のように書かれています。
結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
ここで大事なのは、「通知もせず」と「手入れを怠り」の両方がそろった場合を挙げている点です。また、ガイドラインは別の箇所で、物件の修繕が必要になったときは借りている人が大家さんに知らせる必要があり、知らせずに被害が広がると損害賠償を求められる可能性がある、とも書いています。
借りている人の負担になりやすい場合、なりにくい場合
ガイドラインの考え方を、よくある場面に当てはめると次のようになります。あくまで目安で、実際は契約の内容や部屋の状態で判断されます。
| 場面 | 負担の考え方の目安 |
|---|---|
| 結露に気づいてこまめに拭き、大家さん・管理会社にも伝えていた | 借りている人の負担にはなりにくい |
| 結露を拭いてはいたが、大家さんには伝えていなかった | 状況による。これから伝えれば遅くない |
| 結露を放っておき、伝えもせず、壁や窓枠が黒く傷んだ | 借りている人の負担になりやすい |
| 入居したときから窓まわりにカビがあった | 入居前からのもの。入居時の写真が証拠になる |
裁判ではどう判断されたか
ガイドラインには、実際の裁判の例も収録されています。結露に関係するものを2つご紹介します。
- 名古屋地方裁判所 平成2年10月19日判決:壁のクロスの汚れが結露によるものだとしても、結露は一般に建物のつくりによって起きるものなので、特別な事情がない限り、借りている人の責任にはできないと判断されました。
- 枚方簡易裁判所 平成17年10月14日判決:カビの主な原因は結露で、結露は建物のつくりの問題と認められました。借りている人は、見えるところの結露は気づくたびに拭いていたと認められ、カビについて借りている人の過失はないと判断されました。
どちらも、結露そのものは建物の問題として扱われています。そのうえで、「見えるところは拭いていた」ことが、借りている人に過失がないと判断される理由の一つになっています。
負担になっても「全額」とは限らない
もし借りている人の負担になる場合でも、ガイドラインは、年数がたって価値が下がった分まで払う必要はないという考え方をとっています。壁のクロスは、6年で価値が1円になる直線(または曲線)を想定して、負担の割合を決めるとされています。長く住んでいるほど、クロスの張り替え費用の負担割合は小さくなります。
また、クロスの張り替えを借りている人の負担とする場合も、傷めた箇所を含む一面分までが目安とされています(タバコのヤニで部屋全体が変色した場合などを除く)。カビがあるからといって、部屋全体の張り替え費用がそのまま請求されるのが当たり前、というわけではありません。
今日からやること1 大家さん・管理会社に知らせて、記録を残す
ガイドラインの考え方からすると、いちばん効くのは「知らせた」という事実を残すことです。
- 結露とカビの様子を、日付が分かるように写真に撮る(窓全体と、カビのある箇所の近くの両方)
- 大家さんか管理会社に、メールやアプリなど文字が残る方法で伝える
- 返事の内容(「様子を見てください」「業者を手配します」など)も保存しておく
- 拭き取りや換気を続け、ときどき同じ場所の写真を撮る
電話で伝えた場合は、日時と相手の名前、話した内容をメモしておきましょう。入居したばかりの方は、入居時の部屋の写真も大切に残しておいてください。

今日からやること2 毎日の結露を減らす
窓の結露は、部屋の暖かく湿った空気が、外の冷たさで冷えたガラスやサッシに触れて水になることで起きます。部屋の湿気を減らすことと、窓を冷やさないことが対策の基本です。
- 朝いちばんに、ガラスとサッシの下の水を拭き取る(サッシの溝とゴムの部分がカビやすい)
- 料理・入浴・洗濯物の室内干しのときは、換気扇を回す
- 加湿器を使いすぎない
- 家具を窓ぎわや外に面した壁にぴったり付けない
- カーテンを窓にぴったり付けず、ときどき開けて風を通す
市販の断熱シートを窓に貼る方法もありますが、賃貸では退去時にはがせるものを選びましょう。網入りガラスに貼ると、日差しの熱で割れる「熱割れ」が起きやすくなることがあるので、貼ってよいか確かめてからにしてください。
窓の結露を元から減らすなら、内窓
拭く・換気するといった対策は、毎日続けないと効果がなくなります。窓の結露を元から減らすには、窓そのものを冷えにくくする方法があります。そのひとつが、今の窓の内側にもう一枚窓を付ける内窓(二重窓)です。
内窓を付けると、部屋側の窓は外の冷たさが伝わりにくくなり、部屋側の結露は減るのが一般的です。ただし、外側の窓には結露が残ることがあります。YKK APは、部屋の湿った空気が2つの窓の間に入り、冷えた外側の窓で冷やされるためと説明し、暖房しているときは内窓をきちんと閉めるよう案内しています(出典:YKK AP よくあるお問い合わせ)。

福岡県大野城市のマンションでは、単板ガラスの窓の結露がひどく、サッシの下側にカビが生えていたお宅に内窓を付けました。窓枠の奥行きが2.5cmしかなかったため、ふかし枠を足して取り付けています。福岡県の別のお宅では、「窓に結露がびっしり付いて、カビや木枠の傷みが心配」というご相談から、結露対策を一番に考えたガラスを選びました。

関連する施工事例:結露とカビのマンション(福岡県大野城市)/結露と隙間風(福岡県)/大きな掃き出し窓の結露(福岡市城南区)
結露対策の内窓については二重窓で結露対策、ガラスの選び方は内窓のガラスの選び方でご紹介しています。
賃貸で内窓を付けるには
賃貸のお部屋に内窓を付けるときは、大家さん(または管理会社)の承諾が必要です。内窓は窓枠にネジで留めるため、勝手に付けると退去のときに原状回復を求められることがあります。
- 承諾は、書面やメールなど文字で残す
- 退去するときに内窓を外すのか、そのまま置いていってよいのかを決めておく
- 費用をどちらが持つのかを話し合っておく
- マンションの場合は、管理組合への申請が要ることもある
マンションでの手続きはマンションに内窓を付けるときにまとめています。
大家さん・管理会社の方へ
ガイドラインのとおり、結露は建物のつくりが原因であることが多く、入居者が知らせて手入れをしていた場合、カビの補修は大家さんの負担になる可能性が高くなります。結露の相談が多い部屋は、退去のたびに補修するより、窓そのものの結露を減らしておくほうが、入居者とのトラブルを防ぎやすくなります。
窓の断熱の工事には国の補助金が使える場合があり、賃貸住宅も対象になりうる制度があります。対象や条件は年度ごとに変わるため、補助金のページでご確認ください。
お見積りは無料です。費用は窓の大きさ・数・ガラスの種類で変わるので、窓の写真を送っていただければお出しします。
よくある質問
北側の部屋だけ、とくに結露がひどいのはなぜですか
北側は日が当たらず、窓や壁が冷えやすいためです。暖房のない部屋や、押し入れ・家具の裏のように空気が動かない場所も結露しやすくなります。窓の結露がとくにひどい部屋から対策するのがおすすめです。
退去のときに、カビの費用を請求されたら
請求の内訳(どこを、何の費用で、どの割合か)を書面で出してもらい、ガイドラインの考え方(結露の扱い、年数による価値の減り方、一面分までの目安)と照らし合わせてみてください。知らせた記録や写真があれば、話し合いの材料になります。
内窓を付ければ、カビはもう出ませんか
窓の結露は減るのが一般的ですが、カビの原因は窓だけではありません。部屋の湿気が多いままだと、壁や家具の裏にカビが出ることがあります。換気や湿気の対策とあわせて考えてください。内窓で気をつけたい点は内窓のデメリットと後悔しない選び方にまとめています。
困ったときの相談先
退去の費用について大家さん・管理会社と話がまとまらないときは、消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センターなどにつながります)に相談できます。国土交通省のガイドラインの本文は、国土交通省のホームページで公開されています。
まとめ:知らせて、拭いて、記録を残す。窓の結露は元から減らせる
国のガイドラインでは、結露は建物のつくりが原因であることが多いとされています。借りている人の負担になりやすいのは、結露に気づいたのに知らせず、拭くなどの手入れもせずに、壁などを傷めた場合です。今日から、大家さんへの連絡と写真の記録、毎日の拭き取りと換気を始めましょう。窓の結露そのものを減らしたいときは、大家さんの承諾を得たうえで、内窓という方法もあります。
大家さんと相談するための見積りや、窓の写真を見ての目安のお伝えもできます。LINEでのご相談、またはお問い合わせからお気軽にどうぞ。
この記事の出典
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月(結露の考え方、通知の必要、経過年数、負担単位、裁判例 事例1・事例23)
- YKK AP よくあるお問い合わせ「内窓設置後の外窓の結露を抑制する方法を教えてください」
- ガラパゴス内窓の施工事例(本文中にリンク)


