
「家をあたたかくしたいけれど、窓・床・壁・天井のどこから手をつければいいのか分からない」というご相談は、とても多くいただきます。結論から言うと、国の公式ページでは「まずは工事が手軽な窓から」とすすめられています。ただし、窓だけで足りるとは限りません。
この記事では、環境省と国土交通省の資料で確かめられたことだけをもとに、断熱リフォームを考える順番と、窓から始める場合・ほかの場所を先にする場合の考え方を、やさしく説明します。内窓がいちばんの答えとは限らない、という点も正直に書きます。
文:ガラパゴス内窓 編集部 / 更新日:2026年10月
先に結論:順番は「よく使う部屋」と「手軽さ」で決める
- 環境省の資料では、住宅では窓などの開口部からの熱の出入りが5〜7割と言われていて、まず窓の断熱リフォームがすすめられています。
- 理由として挙げられているのは、窓は比較的安価で工事が短く済むこと。天井・壁・床は大がかりな工事になりやすいためです。
- 国土交通省は、家全体ではなく「よく使う部屋から」断熱する方法も紹介しています。その場合は窓だけでなく、床・壁・天井も組み合わせた例が多く出ています。
- 寒さの原因が足元の冷えなら床、屋根の下の暑さなら天井など、お悩みによっては窓以外が先のこともあります。
家の熱は、どこから出入りするのか
環境省の「ゼロカーボンアクション30」のページでは、業界団体(日本建材・住宅設備産業協会)の資料を引いて、冬の暖房時には室内の熱の約6割が窓などの開口部から外へ出ていき、夏の冷房時には外から入ってくる熱の約7割が開口部から入ってくる、と説明されています。環境省の「デコ活」のページでも、窓などの開口部からの熱の出入りは5〜7割と言われている、と書かれています。
ただし、これは住宅全体の目安です。窓の大きさ・数、家の築年数、向きによって割合は変わります。「うちの窓がちょうど6割」という意味ではありません。
窓・床・壁・天井を比べてみる
国土交通省のパンフレット「ご自宅の中でよく使う生活空間から優先して断熱改修しませんか?」(令和6年6月)には、窓・床・壁・天井それぞれの断熱改修の方法の例が載っています。そのうえで、環境省のデコ活ページが示す「窓から始めるすすめ」とあわせて整理すると、次のようになります。
| 場所 | 国の資料にある工事の例 | 向いているお悩み・注意点 |
|---|---|---|
| 窓 | 今ある窓を残して、室内側または室外側に高性能な窓を足す(二重化) | 冬の冷気、夏の暑さ、結露、音。比較的安価で工事が短い、と環境省は説明しています。 |
| 床 | 今の床材を残して、床下に断熱材を詰める | 床が冷たい、底冷えする場合。床下に入っての作業になります。 |
| 壁 | 今の内壁の上に、断熱材を足す | 壁際が寒い場合。部屋が少し狭くなる、工事が大がかりになりやすい。 |
| 天井 | 今の天井を残して、天井裏に断熱材を敷き込む | 最上階の暑さ・寒さ。天井裏の状態の確認が必要です。 |
環境省のデコ活ページでは、天井・壁・床は大規模な改修になる傾向があるため、まずは窓から、という考え方が示されています。大がかりな工事でも、すでに外装工事や内装の工事を予定しているなら、そのついでに断熱を足すと効率がよい、と国土交通省のパンフレットにも書かれています。
窓から始める場合の考え方
窓が始めやすいとされる理由は、公式の説明では「比較的安価に、短期間で工事が終わる」という点です。内窓(今の窓の内側にもう1枚窓を付ける方法)は、壁を壊さずに付けられるので、住みながら工事ができる場合が多くあります。
窓の中でも順番はあります。冬に寒さや結露を強く感じる部屋、暑さが気になる西日の部屋、一日の中で長くいる部屋から選ぶと、変化を実感しやすくなります。内窓のくわしい選び方は内窓はどこから付ける?にまとめています。
窓だけでは足りないかもしれない場面
正直にお伝えすると、内窓だけで寒さのすべてが解決するとは限りません。次のような場合は、窓以外も一緒に考えたほうがよいことがあります。
- 床が冷たくて足元から冷える:窓より床の断熱が合っている可能性があります。
- 最上階や屋根の真下の部屋が極端に暑い・寒い:天井や屋根まわりの断熱を確認します。
- すき間風が入ってくる:窓まわりのすき間の場合は内窓が役に立ちますが、壁や床のすき間なら別の対策が必要です。
- 家全体でなく一部だけ改修する場合:国土交通省は、改修していない空間との温度差が広がり、ヒートショックなどの問題が生じる可能性がある、と注意を書いています。
なお、国土交通省のパンフレットの改修事例(令和2〜4年度の実証事業)では、窓・天井・壁・床をあわせて改修した家で、冬の暖房を使う部屋の平均室温が上がり、冬の電力使用量が減った例が紹介されています。一方で、住まい方によっては光熱費が下がらない場合もある、と注意書きがあります。窓だけを変えた場合の数字ではないので、窓の効果の目安として受け取らないでください。
進める順番の目安
- 悩みを書き出す:寒い・暑い・結露・音・足元の冷えのどれが一番か。
- よく使う部屋を決める:リビングや寝室など、長くいる場所を先に。
- 窓から確かめる:窓が原因なら、内窓は手軽で効果を感じやすい方法です。
- 窓で足りない悩みが残れば、床・天井・壁を、ほかの工事のタイミングに合わせて検討する。
窓の性能を上げる工事には、国の補助制度が使える場合があります。くわしくは補助金に関してのページをご覧ください。お見積りは無料です。費用は窓の大きさ・数・ガラスの種類で変わるので、窓の写真を送っていただければお出しします。
よくある質問
窓だけ断熱しても意味はありますか
窓は熱の出入りが大きい場所だと国の資料で説明されているので、意味はあります。ただ、床の冷えや天井の暑さが原因の場合は、窓だけでは悩みが残ります。まず何が一番の悩みかを整理するのがおすすめです。
一部の部屋だけ断熱しても大丈夫ですか
よく使う部屋から改修する方法は、国土交通省も紹介しています。ただし、改修していない廊下や脱衣室・トイレとの温度差が広がることがあるので、ヒートショックには気をつけてください。
賃貸やマンションでも断熱できますか
窓の内側に付ける内窓は、壁や床の工事に比べて取り入れやすい方法です。ただ、マンションでは管理規約の確認が必要です。マンションの管理規約のページや、賃貸での設置のページをご覧ください。
まとめ:窓から始めるのは近道。でも、悩みで順番は変わる
国の公式ページでは、工事が手軽な窓から始めることがすすめられています。ただ、床の冷えや天井の暑さなど、悩みの原因が別にあるなら、そちらが先です。「窓だけで解決します」とは言いません。まずは悩みと窓の状態を一緒に見て、必要なところから進めましょう。
窓の写真を送っていただければ、内窓が合うかどうかも含めてお答えします。LINEでのご相談、またはお問い合わせからお気軽にどうぞ。
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この記事の出典
- 環境省「ゼロカーボンアクション30」トピックス「窓の断熱リフォームから、暮らしの脱炭素を始めよう」(2026年10月に確認。図の出典は日本建材・住宅設備産業協会)
- 環境省「デコ活アクション一覧」電気も省エネ 断熱住宅(2026年10月に確認)
- 国土交通省 部分断熱等実証委員会「ご自宅の中でよく使う生活空間から優先して断熱改修しませんか?」令和6年6月(2026年10月に確認)

